ピルについて調べると「ピルを飲んだら太った」「食欲が止まらない」という体験談やクチコミをよく目にすることがあります。
かたや、「別にそんなことなかった」「むしろ痩せた」といった声もあり、これからピルを始めることを検討している方には、どちらが本当なのか非常にわかりにくいですよね。
このような感想が出るのはピルの副作用が関係しているのですが、それには個人差とどんなピルをどんな目的で飲んでいたかが大きく関係しています。
ここでは、「ピルが太る」と言われる原因と対処法、さらに太りにくいピル選びについて解説します。これからピルを始めるかた以外、過去に体重が増えてしまった経験がある方もぜひ一度読んでみてください。
目次
「ピルは太る」は本当?
TwitterなどのSNSを見てみるとピルで太った、食欲がすごいという方が多く見られます。
ピルもうすぐ1シート終わるんだけどめっっっちゃ食欲がやばくてせっかく痩せたのにほぼ戻った笑う😂😂😂
— non. (@usatnon) 2019年1月22日
ピルやめて数週間だけど得た食欲が戻りません!最近また3キロ増えた🤣
— す〜〜🌈👻 (@kappa5555) 2018年3月13日
実際、ピルを飲むと体重にどんな影響があるのか、ピルの作用と副作用から見ていきましょう。
体重増加の原因は「女性ホルモン」
ピルは、女性ホルモン(黄体ホルモンと卵胞ホルモン)を外部から摂取することで、ホルモンバランスを調整するお薬です。
それぞれ
- 黄体ホルモンには食欲を増進する副作用
- 卵胞ホルモンには体に水が溜まりやすくなる副作用
があります。この2つが「ピルを飲むと太る」と言われる主な原因です。
どちらも飲み始めに起こる一時的な症状ですが、通常はしばらく服用を続けていれば食欲もむくみも次第に落ち着いてきます。
体重が増加しやすいのは中用量・高用量ピル
ピルは用途によって低用量から高用量を使い分けます。
通常の避妊や生理痛の軽減などは低用量ピルが、緊急避妊や女性ホルモンに関わる病気の治療には中用量・高用量ピルが使われます。
用量が多くなるほど黄体ホルモンと卵胞ホルモンの副作用は強く出ますので、中用量・高用量ピルは体重が増加しやすく、低用量ピルは影響が出にくいと言えるでしょう。
女性ホルモンに関わる病気
機能性子宮出血、月経困難症、月経周期異常(稀発月経、頻発月経)、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全など
「低用量ピルで太る」のはなぜ?
しかし、通常の用途で低用量ピルを服用すれば、それほど太る心配はないはずなのですが、「低用量ピルなのに実際に太った」という声は実際にたくさんあります。
この場合、ピルと身体の相性によって、食欲促進などの副作用が強く出ている可能性がありますので、ピルの種類を変えることを検討してもいいかもしれません。
最近では、ホルモンの含有量がより少なく、十分に効果が得られる低用量ピルがあります。ホルモンの用量が少ない分、身体への影響もかなり少なくなっているので、体重増加の心配もほとんどありません。
太りにくいピル
ピルにはたくさんの種類がありますが、体重増加の少ない低用量ピルのなかでも人気の高いものをピックアップしてみました。
トリキュラー
トリキュラーは日本の産婦人科医院で最も処方されているピルです。妊娠した時の女性ホルモンの分泌パターンに似せて薬が効くように配合されており、排卵抑制や受精卵が着床しにくくさせる効果があります。吐き気やむくみ、体重増加などの副作用は少ないものの、飲み初めの1週間程度は軽い頭痛など体調に変化があらわれる人も。
ダイアン35
ダイアン35は体格が小さめなアジア人向けに開発された低用量ピルです。従来のピルは欧米人の体格に合わせて薬を調剤していたということもあり、効果が得られる最小限のホルモン量です。もちろん体重増加や食欲増進といった副作用が少ないので人気があります。他の低用量ピルと異なるのは、男性ホルモンの分泌を抑制して排卵を起こさせない点。抜け毛やニキビの改善にも期待できます。
マーベロン
ホルモン含有量が従来のピルに比べて少なく、体重増加や吐き気などの副作用の発現も少ないです。日本人のような小柄な体系の人に向いています。マーベロンを継続使用することで、妊娠しているのと同じ状態のホルモンバランスを作り出して排卵を抑制させます。飲み忘れなければ、ほぼ100%の確率で妊娠を防ぐことができます。
ヤーズ
日本の産婦人科医院で処方されることも多いピルです。黄体ホルモンに新しいタイプの成分(ドロスピレノン)を使用することで、卵胞ホルモンの量を抑えています。ただしヤーズは胃腸薬との飲み合わせが良くないので避妊効果が薄れる可能性があります。使用する前に医師や薬剤師に確認しておくといいでしょう。
ロエッテ
主成分には緊急避妊薬にも使用されているレボノルゲストレルが配合されているので、緊急避妊用としての効果も期待できます。他のピルとは異なり避妊を目的として開発されているので、毎日服用して得られる避妊効果は最も高いです。超低用量ピルとはいえ、飲み初めの1週間はむくみや吐き気などの副作用に注意が必要です。
ヤスミン
ヤスミンは最も新しい第4世代のピル。人体の黄体ホルモンと似た成分を使用しているので、体重増加やむくみなどの副作用が非常に少なく人気の高い製品です。飲み初めに乳房の張りや吐き気などの副作用が多少でることがあります。国内では販売されていないので、購入するにはインターネットなどで個人輸入をしてください。
まとめ
ピルの主成分である女性ホルモンには体重増加の副作用がありますが、影響が大きいのは中容量・高用量ピルだけなので、低用量ピルであれば心配することはありません。
それでも気になる場合は、低用量ピルの中でもさらに副作用が少ないものを選ぶようしましょう。
また、実際にピルを飲んでから食欲が止まらない、明らかに体重が増加した、という方はピルの種類を変えてみるのも良いかも知れません。